スポーツベッティングへの参加を促進するスタートアップ

この1年の間に、スポーツベッティングにとって決定的な出来事が2つありました。ひとつは、米最高裁判所がスポーツ賭博の合法化に向けて動き出したこと。そしてもうひとつは、スマホアプリ「HQトリビア」の出現です。毎日毎日現金狙いで勝負しようと構える100万人以上のユーザーのお蔭で、人気が急上昇しました。さらに、企業の中には、ギャンブル関連の商品を合法的に提供できると保証してもらえた企業も出てきました。これは日本の開発者にとっては朗報です。参入できる新規市場ができるかもしれないのですから。

Readyfireといったアメリカの企業は、今後はスポーツベッティングがまったく当たり前のものになるだろうと考えています。試合のハーフタイム中や試合があまり盛り上がっていないときに、ツイッターやインスタグラムなどを見て過ごす代わりに、スマホから賭けをする人が増えるだろう、と。この種のアプリは、カジノ嫌いの人や、ブックメーカー(スポーツベッティングの胴元)の存在すら知らない、という人さえ惹き付けられるような魅力的なゲームとなっており、新規ギャンブラーの獲得が期待されています。

ベッティング系スタートアップは、ユーザーがスマホアプリを通して賭けられるようになることを望んでいますが、現状ではまだそこまでに至っていません。国や地域によりに法律が異なるので、アプリを運営するにも異なる規格やライセンスが大量に必要になり、費用もかさんでしまうからです。

それでもスポーツベッティング系スタートアップは、スマホで賭けられるようにすることを目指しています。ギャンブルが面白くてやめられないと思ってもらうには、賭けがとても簡単にできるスマホが最適だと考えているからです。

前述のReadyfire社には、「Halftime Live」という商品があります。スポーツイベントのハーフタイムに行われる、スポーツをテーマにしたクイズです。400ドル規模の賞金を狙ってこのクイズに参加しているプレイヤーの数は、現在6,000人くらいです。これはトリビアゲームですので、現金を賞金として提供するのも合法的に認められています。このスタートアップの目的は、スマホでのギャンブルを、実験的な試みでも積極的に受け入れてくれるオーディエンスを生み出すことなのです。

今日、特定のサッカー選手やバスケットボール選手、野球選手のファンが自分の好きな選手に一定額の掛け金をベットし、その選手がゴールやホームランを決めたら、それをきっかけに一連のベッティングが開始されるというアプリの開発が手がけられています。その選手が活躍するたびに、スマホのプレイヤーは賞金獲得に一歩近づく、というわけです。しかも、統計を取ったり、ゲームの練習をしたり、カジノに出かける必要もありありません。

スポーツギャンブルを試してみたいというオーディエンスを大量に生み出すことを目的としているスタートアップが、もうひとつあります。その名も、WinView。このアプリは、クイズのようなゲームを提供し、試合のある部分で何が起こるかをユーザーに予測させます。予測するためには頭を使う必要がありますから、これは偶然ではなくスキルによって勝敗が決定するゲームです。このようなタイプのスキルゲームは、合法的に受け入れられるでしょう。

世界中でスポーツベッティングが合法化されれば、デイリーファンタジースポーツ企業や開発者の多くが、大きな恩恵を受けることになります。モバイルギャンブルに関しては、スタートアップが最も優れた業績を出すのではないかと予想されています。しかし、課税やライセンスの問題が出てくれば、スタートアップはギャンブル・プラットフォーム大手にはおそらく太刀打ちできないでしょう。ただ、スタートアップでも本格的に資金を投入すれば、忠実な顧客が得られ、明るい未来を迎えることができるかもしれません。